2007年より日本でも新世代の多焦点眼内レンズが認可されました。
多焦点眼内レンズは、メガネなしでおおむね遠方も近くも見えるという、医学の発展から始まった白内障手術です。
車の運転などでは眼鏡が必要になる場合もありますが、90%の方は日常生活で眼鏡なしで生活できます。
しかし、手術の適応となる眼の条件が通常の白内障手術より厳しくなりますのでどなたでも受けることができる訳ではありません。
また手術費用は自費になるため、やや高額ですが、当院では白内障手術をきっかけに皆様のライフスタイルをより豊かにすることを目指しております。メガネをしたくない方には、大変喜ばれる眼内レンズです。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術をご希望される方は、阿佐ヶ谷眼科までお問い合わせ下さい。
【眼内レンズについて】
従来の単焦点眼内レンズは、どこか1ヶ所にピントを合話すことが可能なレンズです。
しかし、その位置から離れると見えにくくなり、眼鏡が必要になります。
一方で多焦点眼内レンズは、遠くも近くも両方見えるため、眼鏡の必要性が少なくなります。皆様の生活スタイルや趣味、お仕事などによっても、メリットとデメリットがありますので、是非ご相談の上、最適な眼内レンズの選択を決めていきましょう。
●単焦点レンズ(保険適応)
ピントが合う距離が1つのレンズです。遠くにピントを合わせると、近くは合わなくなり、遠くにピントを合わせると近くが見えなくなるので眼鏡などを併用する必要があります。
また、保険診療が適応されます。
●多焦点レンズ(自費)
ピントが合う距離が複数あるレンズです。遠くにも近くにもピントを合わせることができるので、眼鏡の使用頻度を劇的に減らすことが可能です。費用は自費負担となります。 ※眼疾患がある場合は、多焦点レンズの適応ができない場合もあります。
【多焦点眼内レンズと単焦点眼内レンズの比較】
【多焦点眼内レンズの見え方の特徴】
多焦点眼内レンズを使用した場合、メガネを使用しなくても日常生活ができるという点はよいのですが、非常に細かい作業や夜間の車の運転には向かない場合があります。
・この問題に関してはメガネをしても解決しない場合があり、非常に細かい文字や図表などを見た時は、色が薄く見えてくっきりしないと感じたり、夜の屋外の外灯、屋内の照明を見ると強く光が散るように見える場合があります。
・多焦点眼内レンズは単焦点レンズに比べてかなり微妙な調整が必要です。
・乱視の影響、年齢の影響もあるので診察や検査をして適応するか調べます。
・うまく適合した患者様の喜びは大きいですが、時折、多焦点レンズの特徴に慣れない患者様がいることも事実です。
その際には多焦点レンズを単焦点レンズに入れ替えることが必要になることもあります。
【多焦点眼内レンズの種類】
【それぞれの多焦点眼内レンズの特徴】
●パンオプティクス(Alcon)
従来の3焦点眼内レンズにおいては中間距離のピークが80cmですが、一般的なコンピューター操作などの快適な中間距離は60cm程度と言われています。パンオプティクスはその点に着目し、中間距離の加入度数を他の3焦点眼内レンズより強くしたことで、中間距離のピークを60cmに設定しています。
そのため、パンオプティクスはコンピューターや書類を多用するオフィスワーク、料理、スマートフォンを中心とする、現代の日常生活に馴染むことができます。
●アクティブフォーカス(Alcon)
アクティブフォーカスはAlcon 社から2018 年7 月に発売された最新の多焦点眼内レンズです。アポダイズテクノジー構造により近方とハローグレアを改善しています。夜間の光視症は多焦点眼内レンズの中でも最も抑えられていると想定されています。コントラスト感度が落ちるという欠点克服の代わりに、遠くの見え方をくっきりと見えるようにした遠中型タイプのレンズです。その代わり近方視がやや弱い為、眼鏡が必要なケースもあります。
●テクニスシンフォニー (Jonson & Jonson)
Johnson & Johnson社(アメリカ)の焦点拡張型多焦点眼内レンズで、単焦点レンズと多焦点レンズのメリットを融合させた新しいタイプの多焦点レンズ。
独自のテクノロジーによって、鮮明な見え方を重視したレンズ設計になっており、低照度下でも優れた視機能を実現し、ハロー・グレア・スターバーストなどの発生を他のレンズよりも大幅に低減します。
また、焦点深度を拡張することで遠方から近方まで中間距離の視力の落ち込みが無い自然な見え方を提供しています。
●アイシー(HOYA社)
HOYA社AF-1 iSiiは国内で唯一承認されている屈折型のアクリル製多焦点レンズです。遠方の視機能が単焦点眼内レンズに比べて遜色なく、光学的エネルギーロスが少なくコントラスト感度も良好です。しかし、理論上では回折型に比べて不快なグレア・ハローがやや出現やすく、症例によっては術後早期から近見視力に限界があり、近用眼鏡の装用が必要になるケースがあります。
【多焦点眼内レンズの手術の流れ】
手術時間は早い場合は15分〜30分程度で終わります。
「阿佐ヶ谷眼科」では日帰り白内障手術を行っています。(日曜日手術実施)
①角膜と結膜の境目あたりをわずかに切開切開して、水晶体の前嚢を切り取ります。
②器具を入れて水晶体の核と皮質を超音波で砕き、吸い出します。
③後嚢だけは残しておいて、眼内レンズを挿入します。
【多焦点眼内レンズの合併症】
合併症(がっぺいしょう)とは、手術中あるいは手術後に何らかの原因で起こる症状のことです。
合併症の起こる確率は、現代では非常に少なくなりましたが、絶対に起こらないとは言えません。合併症が起こった場合にも、最新の医療技術で対応いたします。
●ハロー・グレア現象
眼内レンズの素材は一種のプラスチックです。 そのため眼内に入る光が反射され、見ている物体の周囲に輪がかかって見えることがあったり、光が長く伸びてまぶしく見える現象が稀に起こります。 ほとんどの方は手術後、徐々に慣れ、症状がよくなる傾向にありますので様子をみてください。もし、手術後6か月ほどたってもよくならない場合は担当の医師にご相談ください。
●後発白内障
手術が終わり、数カ月数年経って、眼内レンズをささえる膜(後嚢)が濁ることで、視力が落ちてくることがあります。
この場合は、外来時にレーザーを使用し、濁った嚢に切れ目(切開)を加えることで、再度見えるようになります。
レーザー後は、濁りの破片により蚊が飛んだような飛蚊症がでる場合がありますが、時間とともに減り、違和感を感じなくなることが多いといわれています。
【術後の注意点】
手術の直後は目の充血がみられる方が多いです。
また、しばらくは、目の中がゴロゴロとする感覚や、チクチクする感覚を感じたり、涙や目やにが出る等の症状が現れますが、1~2週間を目安になくなっていきます。
医師の許可が降りるまでの間は洗顔や入浴をしない
違和感を感じても目をこすったり、触ったりしない
転んだり、目に衝撃を与えないように注意する
医師の許可があるまで運動や運転をしない
医師の指示通りに点鼻薬や内服薬を使用する
飲酒や喫煙は極力控える
【多焦点眼内レンズの費用について】
レンズによって費用が異なるため、お気軽にご相談ください。